2014年5月27日火曜日

alsaceへのプロローグ

 
Bergheim
城壁に囲まれた美しい村
中世に迷いこんだよう












”なんて 素朴で滋味あふれる味わいなんだろう”

はじめて alsaceを訪れ
料理に出逢ったときの印象なんです
日本人がイメージする
華やかで洗練されたフランス料理とは ちがった
フランス郷土料理に魅了されてます













alsaceはドイツとの国境をなす
ライン川と壮大なヴォージュ山脈に
挟まれた自然豊かなフランスで一番小さな地方

歴史は古く紀元前1世紀にはローマ人が入植し
5世紀にはフランク王国に帰属
843年のヴェルダン条約で後のドイツにあたる
東フランク王国に帰属
三十年戦争(1618~1648年)ではフランス領となり
1870年の普仏戦争以来
alsaceの豊富な鉱山資源をめぐって
フランスとドイツの間で争いが繰り返され
その度に人々の国籍が変えられるという
波乱の歴史をもつalsace













1873年に出版されたアルフォンス・ドーデの
短編小説集『月曜物語』の舞台となり
この小説の一編「最後の授業」で先生が生徒たちに

”私がここで皆さんにフランス語の授業をするのは
これで最後です。普仏戦争でフランスがプロシア(ドイツ)に
負けたためAlsaceとLorraineの学校では
これからはドイツ語だけを教えるとことという命令が
ベルリンからきました。
今日はフランス語の最後の授業です”

と、alsaceの悲劇をリアルに語っている
 もし、明日から自分のカラダの一部『母国語』が
つかえなくなったら 
自分のアイデンティティが何なのか?
何をどうすればいいのか?
途方に暮れそう・・・・
 そんな歴史的背景の中でalsaceの人々は
自分たちの伝統や文化を守り続け
フランスでもドイツでもない
alsace人のアイデンティティを確立することで
素晴らしい独特の風土が築き上げられ
そのことは、今でも遣われている
ゲルマン語系にあたるアルザス語や
郷土芸能、郷土料理によく表れています
 
 フランスの優雅さやユーモア、寛大さ
 
 ドイツの律義さや勤勉さなど
フランスとドイツの良いところを合わせ持つalsace
鴨のコンフィ シュークルート添え
忘れられない味
Niedermorschwihr村にて












ドイツ料理といえばビールやお肉・ソーセージ・
じゃが芋ゴロゴロ・ザワークラウトのように
豪快な印象
 そこにフランスのワインやフランス珍味のフォワグラなど
alsaceの食卓を仲良く彩ってます
アルザス料理は暮らしの知恵がたくさん詰まった
『農民料理』
 基本的素材が じゃが芋・お肉・ハム・ソーセージ・
野菜・小麦粉など
料理に特別な工夫はないけれど
素材の味を存分に楽しめ
それは素朴で滋味にあふれています
  
alsaceで味わった野菜やお肉自体の味の豊かなことを
想いだしながら
心温まるalsaceのコトを
表現力や文才のない私ですが
描いてゆきます











2014年5月2日金曜日

オイシイカオ ハ サンモン ノ トク



いつも きまま のほほん一人旅を好む私

Alsaceを旅していると不思議なくらい
夢のような すてきなことに出逢える

その場面は必ずといっていいほど 
食しているときなんです


レストランで いつもは好まない
フォアグラのソテー イチジクソース
(Alsaceはペリゴール地方とならぶ
フォアグラ二大産地)をオーダー
香ばしくフルーティな香りとともに
テーブルに、はこばれてきた お皿に うっとり
いそいで写真におさめ
熱々のうちに 頬張り
とろけるような 『美味しい』が
口の中 のど 鼻にぬけ
「こんなに美味しいフォアグラはじめてぇ」と
思った瞬間 横のテーブルから

隣席・・・「C'est bon?(おいしいかい?)」とたずねられ
私・・・・・「C'est excellent!!(とっても おいしい!!」
隣席・・・「私も同じものを頼んだよ メインは何にしたの?」
私・・・・・「Matelote(うなぎの白ワインの風味豊かな軽いクリーム煮)」
・・・・
メインも同じものを頼んでいたらしく
さらに その会話を聞いていた別の人が
私の食いしん坊ぶりを察知したらしく
その方の 前菜のアボカドと蟹のムースをわけて下さったりと
おいしい食卓がさらに 美味しくなる一コマ







また 1つ星レストランで 一人で昼食
(普通 フランスではレストランで一人客は あまり見かけない)
周りの席は 8人男性常連客グループ、夫婦、友人同士などなど
複数で 賑やか♪
そんなフランス人たちの食べっぷり 話しっぷりを
観察しながら 私も負けじと(勝つ必要はどこにもないけど)
我がテーブルを
シャンパンやリースリング 美味しいお皿で彩り
まず 精一杯 五感を働かせ
一人大宴会となるのです

楽しいオーラがでているのかな?
最後の お茶にさしかかるころ
グループ客の一人がやってきて
私のテーブルの席に座り

お客さん・・「さっきから楽しそうに食事してるね。
    職業は?何で一人なの?」などなど 質問の嵐
私・・・・・・・「C'est mon plaisir(これが私の楽しみなの)」
    カッコイイ台詞 一度使ってみたかった
私たちの食いしん坊話はつづき
そのお客さんは このレストランのシェフと知り合いらしく
厨房見学させていただくことになり
スタッフの方が丁寧に案内してくれました
普段 お目にかかれないところに入れる
ちょっとした 特別感が うれしい
これも ”美味しい顔”のおかげ








まだまだ あるよ
ビストロで 友人と二人で(珍しく二人旅)
Alsace旅 最終日、8日間連日 
 Choucroute(シュークルート)を堪能し
ラストも やはりChoucrouteで有終の美を飾ることに
そのお供に リースリングのグラスワインで乾杯をして
この旅を ふりかえり
「あれが美味しかった」だの
「もっと あのワインを飲んでおけばよかった」だの
食いしん坊たちは盛り上がっていたら

頼んでいないワインが運ばれてきて
スタッフの方が「あちらの Monsieur男性からです」と。
・・・ドラマのよう これも 憧れていた・・・
そのワインは香りたかく 軽やかで 酸味 コク
どれも バランスがいい
驚いて エチケットをみると
「Riesling Grand Cru (特級)」
その アルザス代表のような男性に お礼をいうと
近くの村でワインを醸造しておられ かなりの親日家らしく
仕事で数回 来日したこともあるらしい
なんと ”美味しい顔”は
美味しいコト 美味しいモノを
運んでくれるのでしょう









ParisやLyonのような都市で 
こんな場面に出逢ったことはない
フランス人は 食いしん坊が多いとおもうが
アルザス人は 食いしん坊の最上級かな?
食いしん坊は もっと美味しいモノに出逢いたくて
遠い国アジアから来た 食いしん坊を
寛大に 受け入れてくれてくれるのかな?

だから 旅は やめられない とまらない
”美味しい顔”も やめられない とまらない